徳川家康で学ぶ科学・技術

徳川家康をきっかけに科学や技術の理解を深めます。歴史、観光情報、グルメから、先端の科学技術まで勉強できてしまう全く新しいブログです。コメントや連絡も一番下のコメント欄でお待ちしております。

徳川家康とペニシリン

アオカビ

ペニシリンというと、1928年、英国のアレクサンダー・フレミングがブドウ球菌の培養中に、コンタミネーションにより生じたアオカビのコロニーの周囲にブドウ球菌の生育が阻止されることを発見したことがきっかけとなって発見されました。感染症に有効な抗生物質の先駆けとして、第二次世界大戦では大きな力を発揮し、その後の人類の医療に大きな影響を与えてきています。

実は、16世紀の徳川家康がアオカビに救われていたという話があります。

小牧・長久手の合戦のころ、家康が背中の腫れ物に苦しんだということは史実として認められていると思います。

奇跡の特効薬「ペニシリン」 誕生を生んだ史上最大のセレンディピティ(佐藤 健太郎) | 現代新書 | 講談社(6/8)

 以下、上の佐藤健太郎氏の文章の引用です。

家康は、小牧・長久手の合戦の最中、おそらくは傷口から黄色ブドウ球菌のような菌が入り、背中に大きな腫れ物ができてしまった。

日に日に悪化していく容態を見て、家臣の一人が笠森稲荷に向かい、「腫れ物に効く」といわれる土団子を持ち帰った。アオカビの生えたその団子を腫れ物に塗りつけたところ、おびただしい膿が吹き出て腫れ物は治癒したという。これは、アオカビに含まれたペニシリンのおかげであった、というものだ。

これは理屈として全くありえない話ではないが、さすがに土団子に多少生えた程度のアオカビが、家康の体内に巣食った細菌を全滅させるほどのペニシリンを作っていたとは考えにくい。家康のペニシリン伝説は、「話としては面白い」という程度にとどまるだろう。

笠森稲荷

笠森稲荷は、大阪の高槻にある稲荷神社です。笠森稲荷は、東京(谷中天王寺、小石川)にもあります。これは、大阪の笠森稲荷を移設したものということです。笠森(かさもり)は瘡守(かさもり)ということで、瘡平癒から、皮膚病、梅毒などに効果があるということで信仰されていたそうです。

谷中の天王寺には、牧野富太郎(植物学者)の墓もあります。